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Denonvilliers筋膜.2
陰茎海綿体神経について従来,泌尿器科では骨盤神経叢の最下端から陰茎海 綿体神経( cavernous nerve )が起こり,前立腺後外 側を通り陰茎海綿体に向かう,と言われてきた. 1980 年代に Walsh ら ) が前立腺後外側の神経と血管が集約的に存在する部位を神経血管束( neurovascu- lar bundle: NVB )と命名して以来,前立腺全摘除術において陰茎海綿体神経を温存する場合,この神経血管束を温存するような手術が行われてきた.しかし近年になり,陰茎海綿体神経は神経血管束だけではなく,前立腺の腹側および背側に幅広く plate 状に存在 し,前立腺全体を取り巻くネットワークを形成していることが明らかになってきた .
今までの説明と同じ。
Denonvilliers 筋膜は Denonvilliers が prostatoperi- toneal membranous layer (腹膜前立腺筋膜)と呼んだものであり,膀胱・精嚢・前立腺(または腟)と直 腸の間に存在する膜性隔壁である.ダグラス窩から骨盤底に至る前葉・後葉の2葉からなる嚢状構造と説 明されることが多いが, Denonvilliers 筋膜の定義は曖昧である.最近,泌尿器科領域においては武中らの fresh cadaver による研究で, Denonvilliers 筋膜はダグラス窩と精嚢基部あるいは前立腺底部の間の平滑筋成分を含む比較的しっかりとした結合織と,この結合 織の背側と直腸の間の一定の厚みを有する疎な結合織の2種類の結合織から構成されていることが報告されている.Denonvilliers 筋膜は発生途上に腹膜の直腸膀胱盲嚢( rectovesical cul-de-sac )の 2 つの壁が癒合してできたものとされている.秋田らは発生学的研究で, 腹膜は会陰小体の高さまで下降することはなく,前立腺の頭背側で停止すると報告している. 2 つの腹膜が癒合した膜が,武中らの言うダグラス窩と精嚢基部あるいは前立腺底部の間の平滑筋成分を含む比較的しっかりとした結合織に相当するのではないかと考えられる.この膜と直腸の間の一定の厚みを有する疎な結合織は,前立腺被膜の周囲の外側骨盤筋膜と本来同じ組織であり,前立腺,直腸,膀胱を覆っているのではないかと考えられる.
結論としては、しっかりとした結合織と,一定の厚みを有する疎な結合織の2種類の結合織から構成されていること。という事ですね。
Denonvilliers筋膜
第5回臨床解剖研究会記録 2001.6.30
Denonvilliers筋膜とは,Denonvilliers(1837)が,腹膜前立腺筋膜と呼んだことに由来する,膀胱・精嚢・前立腺(または腟)と直腸との間に開存する膜性隔壁であり,直腸生殖中隔(直腸膀胱中隔ならびに直腸腟中隔)とも呼称される,腹膜の癒合した結合組織の膜で,Douglas窩の腹膜からPerineal bodyに達していると言われている.
何回目かだけどDenonvilliers筋膜の説明。
Denonvilliers筋膜と称される部は,今回の検討では一定の膜としては観察されず,非常に狭い不均等な幅のspace(腔隙)として観察された.この結果から,直腸授動の際,筋膜に沿って直腸を剥離するという認識は非常に困難であると考えられた.外科的に剥離可能な範囲は男性では,前立腺下端まで,女性では直腸肛門粘膜移行部から約2cmまで(肛門括約筋近傍まで)で,男性よりも女性の方がより肛門側まで剥離が可能であった.
一定の膜としては観察されずということは刺激すれば直接に響くのかな。
外科医からみた直腸周囲の筋膜解剖と機能温存直腸癌手術のための剥離層
第16回臨床解剖研究会記録 2012.9.8
Denonvilliers筋膜は,1836年にCPDenonvilliersにより報告された精嚢・前立腺と直腸との間に介在する筋膜である.女性では直腸腟中隔がこれに相当する.骨盤内の筋膜のなかでは比較的厚い膜として認識できる.同筋膜の尾側は前立腺皮膜もしくは直腸尿道筋に達している.実際の手術の際,多くの症例で前立腺中央部付近にて同筋膜と前立腺との剥離が困難となる.DVFの外側は複数の膜に分かれている.もっとも後内側の膜は下腹神経前筋膜に連続し,温存すべき神経と直腸固有筋膜の境界を形成している
こちらでは骨盤内の筋膜のなかでは比較的厚い膜として認識できる.とある。どっちなんだ。